メンタルダウンの問題とは、脳の炎症の問題である、とは。
よく「うつは、こころの風邪ですよ」というようなことが一般的に言われていると思います。しかし、脳科学的にきちんと調べると、決してそんなあいまいなものではなく、脳にさまざまな「炎症」が生じていることがわかります。慢性炎症が進むと、脳内に損傷が起きてくるのです。
たとえば、「目で見る脳とこころ」NHK出版 松澤 大樹・著 という本がありますが、この本を見れば、メンタルダウンしている人は扁桃体や海馬などの記憶に関する脳の部位に損傷が起きていることが、写真で紹介されています。
この著者はお医者さんです。
こういった研究は、現在様々な科学者たちによって進められています。しかし、「なぜ、その炎症は起きるのか」と言うことに関しては、松澤医師は、「わからない」とこの本の中で書いています。
多くの科学者たちも同様に言っている方が多いのではないかと思います。
私は思うのですが、ここに現代科学の限界があると思います。現代科学には、「心」というものをとらえるという視点がないからです。
私は、筑波大学名誉教授である宗像恒次博士に、脳科学メンタルトレーニングを約18年間ならい企業で実践してきました。最初勉強を始めたときは、脳科学メンタルトレーニングは、単なる「傾聴カウンセリング」だったのです。
相手のお話を聴き、そしてストレスを吐き出してもらう、というよくあるカウンセリングですね。
しかし当初、ヘルスカウンセリングと呼ばれていたこの技法は、たまたま学習していた人が、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、栄養士、などの医療に携わる方が多かったため、「それを行った結果、何が変わるのか。またなぜ、それをするのか、エビデンス(証拠)を示して欲しい」という、要求が非常に強かったのです。
彼らは、患者さんのストレスから発生する慢性疾患を改善させるために、この技法を学んでいたので、患者さんに説明するためにも、エビデンスを必要としていたのです。
そこから単なる「傾聴カウンセリング」は、脳科学、免疫学、遺伝子発現学、行動科学、古生物学、素粒子物理学、などの様々な先端科学を用いた研究が、宗像博士によって進められ、そして実施後、免疫データ、遺伝子発現データ、などの様々な身体データがどのように変化するのか、という研究がなされ、脳科学メンタルトレーニングが生み出されて言ったのです。
で、話を戻しますと、お伝えしたいことは、脳科学メンタルトレーニングでは、心=ストレスが、身体にどういう影響を及ぼすか、という「心を可視化する」と言う研究を深く行ってきたということで、ここが他の心理療法や、現代科学とは全く違ったところになるのです。
結論を言いますと、メンタルダウンとは基本的には脳内炎症の問題であり、それは「慢性ストレス」によって生み出されるのですね。
この一連の流れの詳しい説明は、ここで書くと複雑になるので別の機会に譲ります。
「こころの風邪」などという、あいまいなものでは決してなく、また現在、うつは「原因がよくわからない」と言われていることも多いと思いますが、それは単に「心」を科学的に研究する、という研究分野が存在していなかったために、わからなかっただけなのです。
原因は実にはっきりしています。
脳の炎症はなぜ引き起こされるのか。それは、10/20のNHKスペシャル「病の起源 うつ病」の中でも放映されていたように、脳内の情動の発電装置である、扁桃体がストレス刺激によって異常に興奮させられていることから、生まれるのです。
扁桃体は、なぜ刺激されるのか、そのことについては次回のブログでご説明します。NHKスペシャルの中で解説されていた、科学者の研究とは全く違う、驚くべき研究結果をご紹介しましょう。
でも、これは科学的な事実なのです。
2013/10/25