企業メンタルヘルスご担当者向け情報「脳科学メンタルトレーニングが考える、アンチグローバリズムがメンタル不調を解決する。」
先日、訪れた某企業担当者(社員数約2000人)とお話ししていた時、その担当者はこういわれたのでした、
「弊社には、メンタルで調子悪くなる人ってほとんどいないのですよ」
おお!すごい、と思ってその秘訣はなぜなのかいろいろ聞いてみたのです。そうすると、一つの仕組みがあることがわかりました。たぶんこの企業は無意識にされているのだと思います。
結論を言うと、社員のための「なんでも相談室」を置いているのです。こう書くと、なんだそんなことかと思う方もおられるでしょう。多くの企業でも、社員相談室を置いているところはあると思います。しかし、ちょっとニュアンスが違うのですね。
こういう仕組みはいわゆる、「役割としての仕組み」であって、大事かもしれませんが、ちょっと違うのですね。
多くの企業でおいておられる社員相談室というのは、たぶん常勤、非常任のカウンセラーがいたり、保健師の人がいたり、とかそういう感じなのではないでしょうか。
この会社は、この企業の中の年配の社員であって、いかにも人望のありそうな人が、毎日毎日、雑談を行っていたのです。○月から○月の間は、入社3年目までの人はかならず相談室に来てください。ここでの話を会社には漏れませんから。
という具合に、定期的に雑談を行っているのですね。
そして、「なにか困っていることはないか」「心配なことはないか」「悩んでいることはないか」と質問して、相談に乗っていたのです。
私はこれを聞いたとき、素晴らしい仕組みだなあ、と思いました。
日常的に相談に乗る、という機能を仕組化しているのですね。そして、この相談室で手におえない人については、我々のような外部のプロの心理療法家たちが面談していたのですね。
聴くと、この会社では新入社員は3年間でほとんどやめないそうです。多くの企業では、3年以内に相当数が離職するという現実があるというのに、です。
考えてみると、1980年代までの日本企業は非常に家族主義というか、そういうような人情があふれていた企業でした。メンタルヘルス不調が問題となるのは、’90年代以降です。’90年代以降に何があったのかというと、それは一言でいうと、グローバリズムです。
グローバリズムとは、市場を開放してすべてを数字に換算して、すべてに順番を付け、業績だけで判断する、という「人情をはさまない競争原理を導入すること」という側面があるのではないかと思います。
これをやって以来、メンタルヘルス不調の問題が’90年代以降注目されだしてきたのですね。グローバリズムを突き詰めると、企業は株主のものになり、業績が悪ければ会社自体が売り払われます。
役員はクビになり外部から違う役員がやってくる、などのことがおこりますよね。
そして社員に対してもそういうことが行われます。
しかし、これを行ったことの賛否両論はあると思います。しかし私個人としては、'80年代までの日本企業のほうが強かったのではないかと思います。
製造業のクオリティは世界一でしたし、GDPは世界第2位でした。今は、クオリティはどうでしょうか。日本の家電メーカーはかつてのような競争力はあるでしょうか。GDPは中国に抜かれています。政府の借金は史上最大。日本倒産もあるなどと言われています。
そして自殺者は、今のほうが圧倒的に多いのです。
私は、先ほどの企業の取り組みを見てふっとひとつのキーワードが浮かんだのでした。
それは、「グローバリズムではなく、ローカリズムの仕組みを導入する」ということです。
もっとわかりやすく言うと、ローカリズム=家族主義の仕組みを導入する、ということです。
大きな企業では、会社自体をグローバリズムから変えていくというのはすぐにはできないでしょう。しかし、先ほどの企業のように、社内に家族主義を通じる仕組みを持つことはやりようによっては可能ではないかと思います。
なんでも相談に乗る、親身にアドバイスをする、定期的に気にかけ声をかけることを仕組化する、定期的に雑談する、など。先ほどの企業が行っていた「なんでも相談室」とじは、まさにに’80年代の日本企業が持っていた、古くよき日本の家族主義を仕組化したものではないかと思いました。
そして自分たちの手におえない人は、我々のようなプロに任せる。
こういう仕組みを作ることで、先ほどの企業のようなメンタルを予防する仕組みを作ることが可能なのではないかと感じます。社員相談室に関するお問い合わせは以下からどうぞ。
2014/06/15